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 不思議な声の物語 by R::#1ムスタングfeat.三線12

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#1ムスタングfeat.三線12

「ほれ。重いぞ。」

「うん、ありがとう…。」

「な〜にをメソメソしとるんじゃ〜。」

「なになに、あんた泣いてんの?」

「フンだ!潮風が目にしみただけだい!」

「ハハハ!そりゃ、今帰仁の浜でワシが言ったことじゃないか〜!空港の中は、潮風なんぞ入らんぞ〜!ハハハ!」

「たったの2週間でしたけど、本当にお世話になりました。」



おいおい、2週間も学校サボってたのかよ。

…ん?

…ていうか、2週間て?



「ま、ワシも久しぶりに身の入った稽古もできたし、たくさん笑ったしな〜。こちらこそ、本当にありがとうじゃ。」



そういや、なんか二人とも肌の色が一段と黒くなったような…。

よく見ると、ショーンの腕や足、それにオヤジの腕にもずいぶんとアザができてるんじゃないの?どういうこと?



「ジージ、ぼく強くなったかな?」

「ん〜。ショーンはもともと強い子じゃよ。それにな、強さは、人と比べるもんじゃない。どんなに手(てぃ〜)ができても、ミサイルにはかなわんからな。じゃが、大切な人を守る時には、必殺の力が発揮される。その種は、もうオマエに全部教えた。それに水をヤルかヤランかは、オマエにかかってる。よくぞ、2週間、ワシの稽古に耐えたな。合格じゃ。」

「あ、ありがとうオジ…師匠!」

「ハハハ!よいよい。ワシはあくまでオマエのオジーだっからよ。」

「ありがとうございました。これからは私がしっかり見守っていきます。」

「ミユキさんも大変じゃろうけど、よろしく頼みます。ワシらの流脈を絶やさんように、ウニゲーサビラ(お願いします)。」



ど、どういうことだ?確かに腕のアザからすると、そうとうな稽古をしたように思えるけど…?

オレが一緒に居たのは、せいぜい3日くらいか?だいいち宴会ばっかりだったんじゃなかったっけ?

ん?未雪にもアザが!ま、まさか未雪まで…修行…?



「お、そう言えばミユキさん。今帰仁城跡で転んだ時の傷はどうかの?」

「あは、ようやく痛みは無くなりました。まさか石段にボコボコにされるとは思いませんでしたもんねっ!」



ねっ!じゃねぇよ!あ、そ。そゆこと。確かに未雪にはオレが少しだけ教えたけど、さすが元体操部、センス良かったもんな〜。てか、未雪まで稽古したかと思ったゼイ、フ〜。



「荷物はこれで全部じゃな。三線ワシンなよ。」

「忘れないよ。ちゃんと稽古して、三線も合格点もらうからね!」

「音楽はワシよりオマエの方が上じゃよ。なんせパ〜パの子だからな。」



お、良いこと言うじゃないパ〜パ!



「ま、アイツの音楽は金には縁がなかったけどな、ハハハ!オマエならプロになっても、自分の好きな音楽ができると思うぞ。」



ヤナこと言うじゃないオ・ヤ・ジ!



「ん〜よくわかんない!でもね、たぶんだけど…両方ずっとやってくと思うよ、空手も音楽も。」

「(ボカッ!)手(てぃ〜)じゃ!」

「イッテ〜!両手荷物持ってるのに〜。ずるいぞ〜!」

「ハハハ!体サバキじゃ!何事も修行修行!じゃな。」

「も、もうそのへんで。じゃ、お父さん、また来ますね。」

「おう。近いうちにワシも東京に行こうかな、、、なんてな。」

「あれ?ジージ潮風?」

「おりゃ!」

「よっ!っと、体サバキね!」

「最後まで笑わしよる!ハハハ!気をつけてな。また来るんじゃよ!」

「うん!パパもきっと一緒だよ。なんかね〜、手の稽古してる時は感じない、っていうか、そんな余裕無いからなんだけど、食事したりジージと遊んでる時は、なんだかパパがソバに居るような気がしてたんだ。パパもジージに会いたかったのかな?」

「オマエもか?ワシもなんかそんな気がしてたんじゃが、姿現したら説教してやったのにな〜。」



ぜったいに出ませんよ〜だ!



「はいはい、もうこれくらいで。飛行機の時間に遅れちゃいますから。」

「だよね。乗り遅れたら、また1週間居よう!って言うでしょママは。」

「ワシはその方がいいんじゃがな〜。」



それで、こんなに長く居たのね、トホホ。



「今度こそ本当に、ありがとうございました。帰ります。」

「バイバイ!また来るさ〜ジージ!」

「おう!楽しみに待ってるからな〜!」



く〜、身内ながら良いシーンだこと。

しかし、一つ謎が見えたような…。オレがあいつらと居られるのは、あいつらがオレのことを少しでも考えてる時ってことか…。

手は、集中しないとできないから、その時をオレが見てなかったのは、そんな理由なんかな。確かに、宴会や遊びの組手しか見てないもんな〜。

おいおい、ってことは、あいつらがオレを忘れたら、二度とあいつらに会えなくなるってことか?勘弁してよ〜ショーン!未雪〜!

あ、もう東京だ…。あいつら飛行機で爆睡してたのね、トホホ。



次回、再びジェイクと!んじゃ!
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