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 不思議な声の物語 by R::#1ムスタング9

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#1ムスタング9

「ねぇ、このギターの下の方についてる棒、なに?」

「ん?あ、アームね。音を曲げることができるんだ。」

「え?曲げる?」

「こでしょ。ん〜〜〜と。ねっ!」

「な〜んか、ゴムが伸び縮みしてるような感じね。」

「ガ〜〜〜ン!これ、けっこうイカしてるんだぜ!」

「もう!そんな古い言葉使ったって、しょうがないじゃない、そう思ったんだから!」

「これね、ジェイクが改造してくれてて、普通はネジだから、この穴に入れて回していくと、キチッと止まるんだけど、ボクのはクルクル回るようになってるんだ!しかも落っこちないんだよ!」



あらあら、そんな満面の笑顔で語っちゃって!よ!ギター好き!…が、たいがいこの手の話しは…



「ふ〜ん。よくわかんないけど、色は可愛いわね。アイスクリームみたいで。」



あら、やっぱり。まだ、小学生だし、女の子に機械系の話ししてもね〜。



「チッチッチ!これはもともと白かったんだよ。それが、使ってるうちにこのアイスクリームみたいなクリーム色に変化したわけなんだよ!」



あら、めげないショー君。
しかし、どこぞの受け売りって感じなんだけどな〜(汗)



「あっそ。ね、なんか弾いてよ。」

「うん。じゃ、アーム使うヤツね!」

♫♬♫♬♫♬♫♬♫♬♫♬♫♬♫♬♫♬♫♬♫♬♫♬♫♬♫♬♫♬♫♬♫♬♫♬♫♬♫♬♫♬♫♬♫♬♫♬

「いいじゃん!!あたし、ギターのことは全然わかんないけど、ショーンの弾くギターは好きだよ!」

「サンキュ!」

「ね、そのアーム…だっけ?それが着いてる土台のとこ、なんでカタカタ動いてんの?」

「お!いいとこに気づいてくれました!このギターって、チューニングが狂いやすいんだけどね、このアームをぐいっと引っ張り上げると、…ほら、ね!元に戻るんだ!でね…」



あらあら、君も女の子の心には鈍感なのね〜、フムフム。血筋か…



「な〜んだ、ここにいたのか!打ち上げ始まってるぞ!」

「あ、須藤のおじさん。ちょっと、ギターの話しをね。こちらアイリーンです。」

「は、はじめまして。同級生の佐藤です。」

「おじさんて。タクちゃんて呼んで!あ、さっきお母さんと話したよ。ジュースも食べ物もあるから、おいで。」

「はい。」

「じゃ、行こうか。大人の世界へ。」

「そうね。少しくらいカマってあげないと、親の立場ってのもあるからね。」



だそうです、ハイ。でも、あのアーム、たぶんまたやったなジェイクが。力、強いからね。ネジがバカになって、空回りするんだよな〜。昔も確かストラトのアームねじ切ってたし。ま、いいか。ショーンがあんなにうれしそうだから。





「…っかし、ミッキーも頑張ってんな〜。聞いてくださいよ、夏木さんッ!こいつの父親ね、俺の親友でもあったんだけど、そいつが亡くなってからっていうもの、女手一つで育てながら、シュウの、あ、オヤジね、知ってましたっけ?あら、失礼ッ!そのシュウの教えたギターや空手を、息子に伝授するために、自分も必死に勉強して、アイツがやってたことを忠実に再現しようとしてね…ク〜、いい家族でしょ!」

「須藤さんっ!酔っぱらい!初呑みで夏木さんにそんな話しして!第一、ミッキーって。ミユキさんてお呼び!」



か〜、タクヤ酒弱くなったな〜。って問題じゃないか。未雪がそんなことをね。ん?俺、未雪にちゃんと教えたこと無かったんだけどな〜。か、空手までって?



「大人って、どこもオンナジね。でも、うちのママの会社の人達とは少し違うかな。」

「そりゃそうでしょ。アイリーンのママはビシッとしてる感じするもん。」

「ううん、そうじゃなくて。な〜んか、冷たい感じなの。ママも仕事の時はアタシでも怖いと思うくらいなんだから。」

「へ〜。そうなんだ。そう言えばここのみんな、笑ってるね。いいよね、こういうの。」

「うん。…ずっと友達でいてね。」

「うん。え!?は、はい!!」

「な〜によ!やなの〜?」

「と、友達サイコ〜!!」



ハハハ!いいね〜青春!!!そっか〜、夏木さんもいろいろあるんだろうな〜。
しかし、幸せって、こんな感じでいいんだろうな〜きっと。



「ショーン!来週、ジーちゃんとこ行くよ!」

「え?学校は?」

「決めたの!グズグズ言わない!」

「出た、酔っぱらいマウス。」

「なんか言った!!!」



おいおい、会話が逆だろが普通。ジーちゃんって…お、オヤジ??



次回「もう一つの伝授」…かな。んじゃ!
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