序章4
2011-11-07 15:25:13 (12 years ago)
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- ボイトレ関連&コーヒーブレイク |
「はいっ!20本!今日もガンバってくださいね〜!」
「おっ、やるね〜。しっかし20本って…、ちゃんと寝たの〜?」
自分で言うのもなんだけど、いっくら宣伝のためっていっても、4曲入りのデモテープを、まだ4倍速なんてものが無い時に、20回もおんなじ曲をひたすらダビングする作業って、かなり苦痛なんだよね。
しかもバンド名のロゴ入りのラベル張りを入れたら、7〜8時間はかかるってことだからな〜。
「へいきですよ〜、大好きな曲ばっかりだから〜。」
明るくそう言ってるユミの顔は、なんかそれ以上聞いちゃいけないような、不思議な空気を醸し出してたんだよね。
「大変だと思うけど、感謝してるぜ。これからもよろしくな!」
タクヤのこういう、あっさりと人にモノを頼んじまう性格ってのが、俺には羨ましいやら、心が痛むやらで、(あ〜、俺にはやっぱりバンドリーダーは向かないやね〜)と思っちまうんだよな〜。
「まっかしといてください!」
な〜んて明るい子だこと。でもぼそっと、
「誰かに頼られるって、いい気持ちなんですね〜」
あれって、俺に言ってたのかな〜?
朝から曇り空のせいか、めずらしくユミの顔が暗いように感じた時だった。
「シュウさんは、なんでいっつも1曲くらいしか歌わないんですか?」
「え?」
ずいぶん長いこと一緒にいるように思ってたんだけど、そういえば自分の意見を言うユミは、この時が始めてのような気がしたんだった。
「ん〜、このバンドはタクヤがメインボーカルだしな〜。俺はギタリストだからね〜。」
なんとも、自分でも歯がゆいような、女々しいような、妙に歯切れの悪い返事した記憶があるな〜。
「私ね、最初にスモークド・チキン聞いたの、シュウさんの歌だったから…」
あ、スモークド・チキンってのが俺たちのバンド名ね。
「家とか学校とかで、いろんなことがあって、もうどうでもいいや!って思って…」
ヤバい、ヤバい…マジな記憶がどんどん蘇ってくる…
「最後にヒトがい〜ぱいいるところで死んじゃおっかな〜、って思って…そしたら、シュウさんの歌が聞こえてきて…」
「お〜い、シュウ!電源入れっぞ!」
「りょ、了解!」
「…だから、今はすっごく元気なんですよ!もっとシュウバージョン、増やしちゃいません、へへ」
一瞬でいつものユミに戻ってたけど、ワイドショーにありがちなことが、ユミにも起こってたってのは、少ししてから知ったんだったな。
次週「歌には力があるんですよね!」っでお会いしましょ!んじゃ!
「おっ、やるね〜。しっかし20本って…、ちゃんと寝たの〜?」
自分で言うのもなんだけど、いっくら宣伝のためっていっても、4曲入りのデモテープを、まだ4倍速なんてものが無い時に、20回もおんなじ曲をひたすらダビングする作業って、かなり苦痛なんだよね。
しかもバンド名のロゴ入りのラベル張りを入れたら、7〜8時間はかかるってことだからな〜。
「へいきですよ〜、大好きな曲ばっかりだから〜。」
明るくそう言ってるユミの顔は、なんかそれ以上聞いちゃいけないような、不思議な空気を醸し出してたんだよね。
「大変だと思うけど、感謝してるぜ。これからもよろしくな!」
タクヤのこういう、あっさりと人にモノを頼んじまう性格ってのが、俺には羨ましいやら、心が痛むやらで、(あ〜、俺にはやっぱりバンドリーダーは向かないやね〜)と思っちまうんだよな〜。
「まっかしといてください!」
な〜んて明るい子だこと。でもぼそっと、
「誰かに頼られるって、いい気持ちなんですね〜」
あれって、俺に言ってたのかな〜?
朝から曇り空のせいか、めずらしくユミの顔が暗いように感じた時だった。
「シュウさんは、なんでいっつも1曲くらいしか歌わないんですか?」
「え?」
ずいぶん長いこと一緒にいるように思ってたんだけど、そういえば自分の意見を言うユミは、この時が始めてのような気がしたんだった。
「ん〜、このバンドはタクヤがメインボーカルだしな〜。俺はギタリストだからね〜。」
なんとも、自分でも歯がゆいような、女々しいような、妙に歯切れの悪い返事した記憶があるな〜。
「私ね、最初にスモークド・チキン聞いたの、シュウさんの歌だったから…」
あ、スモークド・チキンってのが俺たちのバンド名ね。
「家とか学校とかで、いろんなことがあって、もうどうでもいいや!って思って…」
ヤバい、ヤバい…マジな記憶がどんどん蘇ってくる…
「最後にヒトがい〜ぱいいるところで死んじゃおっかな〜、って思って…そしたら、シュウさんの歌が聞こえてきて…」
「お〜い、シュウ!電源入れっぞ!」
「りょ、了解!」
「…だから、今はすっごく元気なんですよ!もっとシュウバージョン、増やしちゃいません、へへ」
一瞬でいつものユミに戻ってたけど、ワイドショーにありがちなことが、ユミにも起こってたってのは、少ししてから知ったんだったな。
次週「歌には力があるんですよね!」っでお会いしましょ!んじゃ!